ケアマネジャー(介護支援専門員)が受ける4つ研修内容まとめ

ケアマネジャー(介護支援専門員)が受ける4つ研修内容まとめ

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大枝 洋子のアバター大枝 洋子 ケアマネジャー

ケアマネ歴12年、介護福祉士歴8年。居宅ケアマネや施設ケアマネを含み、これまで4回の転職を経験。成功した転職もあれば、失敗した転職ありました。そんな転職経験を活かすため当ブログを立ち上げました。ケアマネジャーのお仕事や転職をサポートするセミナーに多数登壇。ケアマネジャー情報雑誌に掲載実績あり。保有資格は、介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士、介護事務、ケアクラーク、他。現在は千葉県内の主任ケアマネジャーとして千葉県内の地域包括支援センターで働いています。

現在、多くの人々が介護福祉士としての経験を積み、将来的にはケアマネジャーを目指していることでしょう。ケアマネジャーとは、介護支援の専門家であり、正式名称は「介護支援専門員」です。

ケアマネジャーの職務に就くには、毎年1回全国で行われる「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、その後、実務研修を受講する必要があります。介護支援専門員資格登録簿への登録が完了すると、介護支援専門員証が授与されます。

さらに、介護支援専門員証の有効期限5年ごとに更新研修を受講しなければいけません。また、有効期限が過ぎて介護支援専門員証が失効した場合は再研修を受講しなければなりません。他にも、主任ケアマネジャーを目指す方には主任介護支援専門員研修という研修もあります。

この記事では、介護業界でのキャリアアップに不可欠なケアマネジャー(介護支援専門員)が受ける4つ研修についてご紹介します。

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目次

ケアマネジャーが受ける4つの研修とは?

ケアマネジャーが受ける4つの研修とは?

以前は、実務研修を完了するには計44時間以上のカリキュラムが必要でした。しかしながら、平成28年度から内容が見直され、現在は研修が3日間に分けられ、総時間は計87時間に増加しています。

ケアマネジャーになるための研修は、以下の4つの項目に分かれています。

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要件実務研修更新研修再研修主任介護支援専門員研修
対象者介護支援専門員実務研修受講試験に合格した方介護支援専門員証を更新する方介護支援専門員証が失効した方実務経験5年以上など
研修時間計87時間計56時間
(実務経験3年以上の方は計32時間)
計54時間計70時間
目的介護支援専門員資格の交付介護支援専門員資格の更新介護支援専門員資格の再交付主任介護支援専門員資格の取得

ケアマネジャーの資格や研修内容は、都道府県によって管轄されているため、異なる場合があります。そのため、試験日程や研修日程も地域によって異なるため、注意が必要です。

詳細については、実務経験している職場または自宅の所在地の都道府県の研修ページを確認することをお勧めします。

実務研修:介護支援専門員実務研修受講試験に合格した方

介護支援専門員実務研修受講試験に合格したケアマネジャーは、合格後1年以内に計87時間の実務研修を受講する必要があります。東京都の場合だと実務研修の費用は52,800円です。実務研修を終えたら、ケアマネジャー(介護支援専門員)として正式に登録されます。

実務研修では、ケアマネジャーとして働くために必要な基礎知識や技能を学ぶことができます。研修内容は、ケアマネジメントの基本知識を中心に、講義や演習、実習形式で前期課程、実習、後期課程の合計3回にわたって行われます。以下では、この研修の詳細について説明します。

前期課程の内容:利用者の自立支援に関する知識や技術

前期課程では、利用者の自立支援に関する知識や技術が学ばれます。介護保険制度や自立支援、相談援助における専門職の基本姿勢、介護支援専門員の倫理、ケアマネジメント、居宅サービス計画の作成、そして地域包括ケアシステムなどがカリキュラムの中心です。

実習の内容:居宅介護支援事業所で3日間の実習

研修は、ただ座学だけで終わるわけではありません。実際の現場でケアマネジャー業務を経験することができます。実習は、多数のケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所で行われます。この実習では、居宅サービス計画の作成やアセスメントなど、様々な業務に取り組むことができます。

後期課程の内容:グループワークを中心とした演習

後期課程では、前期の内容と実習の振り返りを学習した後、グループワークや演習を通じて、様々な事例について理解を深めていきます。例えば、脳血管疾患、認知症、筋骨格系疾患や廃用症候群、内臓の機能不全(糖尿病、高血圧、脂質異常症、心疾患、呼吸器疾患、腎臓病、肝臓病など)、そして看取りについて学びます。後期では、これらの方々に対するケアマネジメント方法を習得します。

実務研修は通信講座でも受講可能

ケアマネジャーとして働いている方の場合、実務研修を受けるために休暇をとることが難しいと思うかもしれません。そのような場合には、通信講座を利用することをお勧めします。

通信講座では、動画とテキストを受け取り、自宅で学習を進めることができます。研修内容のほとんどは動画で受講可能ですが、前期、後期、そして実習の各3日間は、通学が必要です。前期、後期の通学日程は既に決定されていますが、実習は期間内で選択することができます。

実務研修:介護支援専門員実務研修受講試験に合格した方

更新研修:介護支援専門員証を更新する方

実務研修を経てケアマネジャーの資格を取得しても、それが永遠に維持できるわけではありません。介護支援専門員証には、5年の有効期限が設定されています。ケアマネジャー資格を更新するためには、定期的な研修を受講する必要があります。東京都の場合だと更新研修の費用は39,000円です。

実務未経験者向けの更新研修

実務未経験者向けの更新研修もあります。対象となるのは介護支援専門員証の有効期限が期限内の方で、ケアマネジャーとしての実務経験がなく、自治体に介護支援専門員として登録をしていることが条件です。これらの条件を満たす方が介護支援専門員証を更新する場合は「更新研修(実務未経験者向け)」を受けましょう。

実務未経験者向けの更新研修の内容は実務研修の内容と基本的に同じですが、実務研修に含まれる居宅介護支援事業所での実習などは省略されています。学ぶ内容は、介護保険制度、自立支援、人格尊重及び権利擁護、介護支援専門員の倫理、チームマネジメント、地域包括ケアシステムなど、前期と後期に分けて合計54時間のカリキュラムで行われます。

実務経験者向けの更新研修

ケアマネジャー資格を取得し、実務経験を積んでいる人は、「専門研修課程Ⅰ」(6カ月以上の実務経験がある場合)または「専門研修課程Ⅱ」(3年以上の実務経験がある場合)の研修を受講することができます。

専門研修課程Ⅰ(6カ月以上の実務経験がある方)

専門研修課程Ⅰは、ケアマネジャー(介護支援専門員)として必要な専門分野の知識と技術を学び、専門職としての能力向上を目指すための研修です。受講生の施設(居宅、特養、老健、グループホームなど)によって4つのコースが用意され、計10日間で計56時間の研修が行われます。

専門研修課程Ⅱ(3年以上の実務経験がある方)

専門研修課程Ⅱは、介護支援専門員としての技術を磨き、事業所や施設で介護サービスの中核を担うための支援困難事例への対応技術などを学ぶための研修です。全員共通の2日間の共通日程と、受講生の所属先(居宅、特養、老健、グループホームなど)に応じた4つのコースに分かれた4日間の別の日程を合わせて6日間で計32時間の研修となります。

専門研修は通信講座でも受講可能

専門研修にも、オンラインで受講できる通信講座が用意されていますが、演習が中心となるため、パソコン以外での受講は出席として認められない場合があります。研修に影響が出ないようにするため、パソコンでの受講がお勧めです。

更新研修は資格の有効期限が切れる1年前から受講可能

更新研修は、資格の有効期限が切れる1年前から受講が可能です。しかし、必ず有効期限が切れる前に修了する必要があります。更新研修を受講中に有効期限が切れてしまった場合、ケアマネジャーの資格を更新することができなくなってしまうため、早めに手続きを行うことが重要です。

また、更新研修の定員が埋まってしまったり、希望するコースの受講ができなくなることがあります。したがって、受講を希望する都道府県に事前に問い合わせて、定員や研修の修了期限などを確認することが望ましいです。

更新研修を忘れてしまったらどうなる?

以前は、ケアマネジャー資格を失効した場合、登録抹消という厳しいペナルティが科せられていました。この処分は5年間再取得が不可能でした。しかし、このペナルティに対しての批判が高まり、宮城県では削除要件を緩和する措置を取りました。このことから政府でも見直しが進められ、現在は法改正により規制が緩和されています。

今では、資格を失効しているケアマネジャーに対して、都道府県から「介護支援専門員証の交付申請を速やかに行い」「更新研修を早急に受講するよう指導できるようになりました。ただし、指導に従わない場合には以前と同様の罰則規定が適用される可能性があるため、注意が必要です。

更新研修:介護支援専門員証を更新する方

再研修:介護支援専門員証が失効した方

介護支援専門員証が失効してしまった場合、ケアマネジャーの職に就くためには計54時間の再研修を受講する必要があります。また、介護支援専門員の登録から5年が経過した場合も同様に再研修が必要です。再研修では一部の講義は動画視聴でのオンライン履修が可能ですが、全体的には通常の出席による受講が必要です。東京都の場合だと再研修の費用は36,000円です。

再研修の内容

介護保険の理念や実情をベースに、ケアマネジメントを学んでいきます。詳しい内容は以下の通りです。

  • 介護保険制度の理念・現状およびケアマネジメント
  • 人格の尊重および権利権擁護、介護支援専門員の倫理
  • 支援専門員に求められるチームマネジメント
  • 実際にあった疾患(脳血管疾患・認知症・筋骨格系疾患・内臓の機能不全)の事例
  • 看取りに関する事例

主に動画配信による講義となり、合計54時間となります。

最終日には演習が実施されます。演習では、アセスメントや居宅サービス計画(ケアプラン)の作成について実際に行い、学習を深めていきます。

再研修は通信講座でも受講可能

再研修にも、オンラインで受講できる通信講座が用意されています。通信講座では、最終日の演習もZoomなどを利用して受講することができます。しかし、実際に演習を直接受けることが望ましい場合は、「集合研修コース」を選択することをお勧めします。自分のライフスタイルに合わせて選択し、再研修を完了しましょう。

再研修:介護支援専門員証が失効した方

主任介護支援専門員研修:主任ケアマネジャーを目指す方

専門研修課程Ⅱを受講し、実務経験などの条件を満たした方は、主任介護支援専門員研修を受講して主任ケアマネジャーを目指すことができます。主任ケアマネジャーは、他のケアマネジャーを指導する立場であり、円滑なケアマネジメントを管理できる介護支援専門員のエキスパートです。東京都の場合だと主任介護支援専門員研修の費用は52,600円です。

主任介護支援専門員研修の対象者

東京都の場合、主任介護支援専門員研修の対象者は以下の受講要件を全て満たしている方のみになります。

ケアマネジャーとして勤務していること

介護支援専門員として登録している自治体の地域包括センター、介護施設などで常勤しており、かつ主任介護支援専門員に準ずる形で配置され勤務している方。

更新研修を修了していること

下記いずれかの研修を修了している方。

  • 介護支援専門員専門研修Ⅰ及びⅡ
  • 介護支援専門員専門研修Ⅰ及び各都道府県が実施する更新研修
  • 各都道府県が実施する更新研修

実務経験があること

下記いずれか実務経験に該当する方。

  • 常勤専従の介護支援専門員として従事した期間が通算して5年(60ヶ月)以上あること
  • 日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャーであって、常勤専従の介護支援専門員として従事した期間が通算して3年(36ヶ月)以上あること

なお、東京都の場合、ケアマネジメントリーダー養成研修は平成17年度で終了しており、現在は実施しておりません。

区市町村による推薦

下記項目に該当し、ケアマネジャーとして活躍し、高い能力及び意欲があると認められる方。

  • 主任介護支援専門員に準ずる者として、現に地域包括支援センターに配置されている
  • 質の高いケアマネジメントを実施し、地域の介護支援専門員の研修、支援及び連携体制の構築業務を担い、地域全体のケアマネジメントの向上に資することが期待される
  • 居宅介護支援事業所の介護支援専門員であって、管理者として配置されている者で、本研修修了後は区市町村が行う事業等に協力する意思がある

主任介護支援専門員研修の内容

主任介護支援専門員研修は、配信動画による講義と演習で研修が行われています。計70時間で内容は以下の通りです。

  • 人材育成および業務管理
  • 運営管理におけるリスクマネジメント
  • ケアマネジメントに必要な医療との連携
  • 実例をあげた、介護支援専門員への指導や支援の展開について
主任介護支援専門員研修:主任ケアマネジャーを目指す方

ケアマネジャーの研修はどこの場所で受けられる?

研修の申し込みや受講は、通常、ケアマネジャー資格を登録している都道府県で行われます。ただし、特別な事情がある場合は、受講地を変更することができます。この場合は、登録している都道府県と受講する都道府県の両方に相談することをお勧めします。

ケアマネジャーの研修はどこの場所で受けられる?

ケアマネジャーの研修費用は?

東京都の場合、ケアマネジャーの各研修の受講に掛かる費用は以下の通りです。研修費用は自治体によって異なるので、詳細は各自治体のホームページを参照してください。

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実務研修更新研修再研修主任介護支援専門員研修
52,800円39,000円36,000円52,600円

ケアマネジャーになった後も研修は必要

介護支援専門員の研修は、ケアマネジャーとして働く上で必要不可欠なプログラムです。一度取得して終わりではなく、更新研修を定期的に受けることで、知識や情報を整理してより高品質なケアマネジメントが可能となります。

もしケアマネジャーとして5年以上の経験があり、地域に貢献することを日々意識しているなら、主任介護支援専門員の研修を検討してみるのも良いでしょう。詳しい研修概要については各自治体の最新情報をこまめに確認することが必要です。

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この記事を書いた人

大枝 洋子のアバター 大枝 洋子 ケアマネジャー

ケアマネジャー歴12年。居宅ケアマネや施設ケアマネを含み、これまで4回の転職を経験。ケアマネジャーのお仕事や転職をサポートするセミナーに多数登壇。ケアマネジャー情報雑誌に掲載実績あり。現在は千葉県内の主任ケアマネジャーとして千葉県内の地域包括支援センターで働いています。

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